お墓の基本的なしきたり(ルール)

1.お墓に関する法律のいくつか

(1)墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)

 昭和23年にできたが、お墓に関しての慣習をすべて取り込んだものではないので、公の秩序に関するものでありながら、慣習によっているものもある。

(2)刑法の規定 (第188条~1 9 2条) 礼拝所及び墳墓に関する罪

第一八八条(礼拝所不敬及び説教等妨害)
 神祠し、仏堂、墓所その他の礼拝所に対し、公然と不敬な行為をした者は、六月以下の懲役若しくは禁錮又は十万円以下の罰金に処する。
2説教、礼拝又は葬式を妨害した者は、一年以下の懲役若しくは禁錮又は十万円以下の罰金に処する。

第一八九条(墳墓発掘)
 墳墓を発掘した者は、二年以下の懲役に処する。

第一九〇条(死体損壊等)
 死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。

第一九一条(墳墓発掘死体損壊等)
 第百八十九条の罪を犯して、死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

第一九二条(変死者密葬)
 検視を経ないで変死者を葬った者は、十万円以下の罰金又は科料に処する。

(3)宗教法人法、民法など

墓地はお寺に所属していることが多く、また民法には相続に際しての「墳墓等の承継の規定」がある。

2.墓とはなにか

(1)お墓とは墳墓のこと

 お墓のことを法律では「墳墓」といっている。墓埋法では、墳墓は「死体を埋葬し乂は焼骨を埋蔵する施設をいう」としている。「死体」「焼骨」以外のものはお墓ではない。死体については「埋葬」なので、土葬のことである。焼骨(火葬の場合) については「埋蔵」である。納骨堂は,墳墓とは別で、焼骨を「収蔵」する施設である。なお、条例で土葬を禁止ている場合がある。

(2)墳墓とは

 霊園や墓地に墓塔(通常は石塔)が建てられ、その基部に焼骨を収納するスペース(カロート)のある施設のことである。しかし、焼骨をじかに土中に埋めて石塔など墓標を建てたものや土盛りだけのもの、土盛りもないものもある。これらは古くは塚といった。また、土葬の場合は穴を掘って(通常は2メートル以上掘る)、これに土をかぶせて埋める。墓標を立てても立てなくてもよい。上に本格的な石塔などを建てるのは1年以上後が普通で、はじめは卒塔婆など木のものを建てるのが慣習である。

(3)墓地とは

墓埋法によれば、「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事の許可を受けた区域をいう。しかし、先ほども述べたように慣習部分がお墓関係には強くあって、法が施行される前からある墓地もあって、知事の許可がないものも全国にはあるだろう。 同法は「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域にこれを行なってはならない。」としている。現在でも、敗戦前、明治や江戸時代以来の先祖の墓へ、骨を埋めることはあり得ようが、刑法の死体遺棄罪や墓埋法4条違反になってしまう。なお、墓埋法第10条に「墓地、納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は 都道府県知事の許可を受けなければならない」とあり、経営はマネジメントのことでなく、自家用の墓地で利益目的でないものも一応これに当たる。

(4)納骨堂

 墓埋法によれば 「この法律で「納骨堂』とは、他人の委託を受けて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可をうけた施設をいう。」とある。他人の委託でなくて、自家用の遺骨保管は一時的なものでなくても違法ではない。また、納骨堂は「埋める」要素がない。墓と納骨堂の中間の形のものもあり得るが、法的にはどちらかに区分されて、一時的に焼骨を安置する場合は収蔵でもない。お寺に預け、安置する場合ある。我が父の場合もそうであった。納骨堂は、永遠性のあるものである。なお、外国にはクリプト(crypt)という棺に死体を収めたまま教会等の地下室に収納するやり方がある。

3.墓地等の設置、管理

 墓地、枘骨堂、火葬場の経営について許可が必要で、墓地新設は実務上は簡単ではない。私有地の一部に墓地を新しく設けることは山間僻地の場合でないとを許可を出さない。墓地等を設けると、管理者を置き、市町村長に届出、帳簿や書類を備え付けなければならない。しかし、既設の個人有や部落有の墓地などでは、これらは為されていない。墓地等の管理者は、埋葬,埋蔵、収蔵の求めを受けたときは、正当の理由がなければ、これを拒んではならない。また、墓地等の管理者は、埋葬許可証、火葬許可証、改葬許可証のない場合は埋葬、埋蔵をさせてはならず、収蔵もしてはならない。

4. 墓の種類と権利

(1)寺院墓地

 最も多くあるのはお寺にある墓地で、境内にあるものや境内外の寺有地にあるものとがある。寺院が経営する共同墓地もあるが、寺院墓地は主として檀家(檀徒)のための墓地である。江戸時代の檀家政策に源がある。寺院が所有する墓の敷地の使用は、期限を区切る性質のものでないから永久性を持つ。そこから墓の敷地の使用権は「永代使用権」となった。もっとも、檀家も後継者が絶え、墓地の使用権者がいなくなれば、墓は「無縁」となり整理される。

 ※永代使用権 この用語は、民法にも、その他の公法、私法にも条文の上にはない用語である。墳墓が存在する以上、更新の必要などなく続く、永代の権利である。ただし、権利者が不明になったり、使用料が長期間未納になったりすれば、権利は消滅する。消滅しても、墳墓そのものは勝手に排除できず、改葬の手続きが必要である。また墓地そのものの廃止についても、知事の許可が必要である。「墓地を買う」というのは永代使用権を買う事を意味する。墳墓の石塔などは、 所有権の対象となり 墓地と異なり私有のもので、その管理や処理は所有権者の自由であるが墓地の使用権の内容(靈園の規則など)で制限される事はあり得る。

(2)山墓地

里近くの山に墓は沢山ある。山墓地も、自己所有地か、または他人の土地を借りている。借りた場合は「永代使用権」 を持つということになる。

(3)部落墓地

 畑の中などに、ひと固まりになった墓の群があるが、部落またはその数軒で共有している墓地である。もっとも、法的な墓地の所有形態は共有のみでなく様々であろう。いったん墓の使用権を持てば部落を離れた人も使用権を失わない。

(4) 個人所有の墓地

 屋敷内に先祖の墓がある例は少なくない。慣習上のもので許可の有無は不明である。

(5)共同墓地

 最近開発される公営若しくは私設の「霊園」などである。特定の宗教と関係のない (宗派を問わないもの多い)。公営のものについての墳墓の敷地使用権は、公法上の権利であることが多く、私営のものは、民法など私法に基づく権利になるが、どちらも墳墓の性質上、「永代使用権」である。

(6) 納骨堂

  納骨堂の「預かって貰う権利」は、墓の場合の「永代使用権」とほぼ同じになろう。管理料などの長期不納や権利者の行方不明などで、無縁として整理されるのも墓地と同じである。

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