配偶者居住権の新設等「相続法」大改正の内容一覧 2018年1月「遺言改正」から順次施行

第1部 配偶者の居住の権利

1 配偶者居住権の制度新設

(1)配偶者居住権とは

被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、「遺産の分割によって配偶者居住権を取得するとされた」か「配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき」は、その居住していた建物の全部について無償で使用及び収益をする権利のことである。もっとも、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合は配偶者には権利がない。

主な狙いは、高齢で死亡した時に配偶者が他の相続人から追い出されるの防ぐためである。当職も受任案件で経験しているが、それほど、家を奪われるケースが多いのである。現代版「姨捨山」である。売却して金銭を欲しがるのである。現代は親族は勿論親子も人間関係が疎遠である

.なお、居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない。

(2)審判による配偶者居住権の取得

遺産の分割の請求を受けた家庭裁判所は、共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意成立があるときや配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるときには配偶者が配偶者居住権を取得すると定めうる。

(2)配偶者居住権の存続期間

配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間である。ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによることになる。

(3)配偶者居住権の登記等

居住建物の所有者は、配偶者居住権を取得した配偶者に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。登記すれば対抗力を取得する。

(4)配偶者による使用及び収益

配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって居住建物の使用及び収益をしなければならない。かりに従前居住の用に供していなかった部分についても居住の用に供することができる。

また、配偶者居住権は、譲渡することができない。一身専属性に近い法的性質であろう。

なお、配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができない。配偶者が違反した場合に、居住建物の所有者が相当の期間を定めてその是正の催告をし、その期間内に是正がされないときは、居住建物の所有者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者居住権を消滅させることができる。無断転貸に類似の制度であろう。

(5)居住建物の修繕等

配偶者は、居住建物の使用及び収益に必要な修繕をすることができる。居住建物の修繕が必要である場合において、配偶者が相当の期間内に必要な修繕をしないときは、居住建物の所有者は、その修繕をすることができる。居住建物が修繕を要するとき又は居住建物について権利を主張する者があるときは、配偶者は、そのことを知らない居住建物の所有者に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならない。

(6)居住建物の費用の負担

配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する。通常の必要費以外の費用については、償還の時に期限をつけうる。

(7)居住建物の返還等

配偶者は、配偶者居住権が消滅したときは、居住建物の返還をしなければならない。ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合は、居住建物の所有者は、配偶者居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還を求めることができない。配偶者が相続の開始後に附属させた物がある居住建物又は相続の開始後に生じた損傷がある居住建物の返還をする場合については撤去しまたは賠償責任がある。この場合には、使用貸借及び賃貸借の規定の準用(第五百九十七条第一項及び第三項、第六百条、第六百十三条並びに第六百十六条)がある。

 

2 配偶者短期居住権の新設

(1)配偶者短期居住権とは

配偶者が、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、「居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から六箇月を経過する日のいずれか遅い日」か「申入れの日から六箇月を経過する日」までの間、その居住していた建物の所有権を相続又は遺贈により取得した者に対し、居住建物について無償で使用する権利(居住建物の一部のみを無償で使用していた場合にあっては、その部分について無償で使用する権利)を有するものとすることをいう。

ただし、配偶者が、相続開始の時において居住建物に係る配偶者居住権を取得したとき又は相続人の欠格事由についての民法第八百九十一条の規定に該当し若しくは廃除によってその相続権を失ったときは、この限りでない。

この場合においては、居住建物取得者は、第三者に対する居住建物の譲渡その他の方法により配偶者の居住建物の使用を妨げてはならない。なお遺産分割ケースでないときには、居住建物取得者は、いつでも配偶者短期居住権の消滅の申入れをできる。

(2)配偶者による使用

配偶者短期居住権を有する配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用をしなければならず、居住建物取得者の承諾を得なければ、第三者に居住建物の使用をさせることができない。

配偶者がこれに違反したときは、居住建物取得者は、当該配偶者に対する意思表示によって配偶者短期居住権を消滅させることができる。

(3)配偶者居住権の取得による配偶者短期居住権の消滅

配偶者が居住建物に係る配偶者居住権を取得したときは、配偶者短期居住権は、存続の必要がなくなるので消滅する。

(4)居住建物の返還等

配偶者は、配偶者居住権を取得する場合を除き、配偶者短期居住権が消滅したときは、居住建物の返還をしなければならない。ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合
は、居住建物取得者は、配偶者短期居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還を求めることができない。

なお、付属物の収去に関する民法第五百九十九条第一項及び第二項並びに賃借人の原状回復義務に関する第六百二十一条の規定は、配偶者が相続の開始後に附属させた物がある居住建物又は相続の開始後に生じた損傷がある居住建物の返還をする場合について準用する。

さらに、借主の死亡による終了に関する民法第五百九十七条第三項、損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限に関する第六百条、賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了に関する第六百十六条の二が配偶者居住権に準用される。使用貸借的要素等を持つからである。

 

第2部 遺産分割等に関する見直し

1 婚姻期間が二十年以上の夫婦間における居住用不動産の遺贈又は贈与

婚姻期間が二十年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について特別受益者の相続分に関する民法第九百三条第一項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。

2 遺産の分割前における預貯金債権の行使

各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に当該共同相続人の法定相続分を乗じた額(同一の金融機関に複数の口座を有している場合には、標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して金融機関ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。

3 遺産の一部分割

共同相続人は、民法第九百八条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。

4 遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲

遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その全員の同意により、当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができるものとする。もっとも、共同相続人の一人又は数人によりの財産が処分されたときは、当該共同相続人については、の同意を得ることを要しない。

 

第3部 遺言制度に関する見直し

1 自筆証書遺言の方式の緩和

全文の自書等を求める自筆証書遺言に関する民法第九百六十八条第一項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(相続財産に属しない権利の遺贈に関する第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。

この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。自筆証書( の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

2 遺贈義務者の引渡義務等

遺贈義務者は、遺贈の目的である物又は権利を、相続開始の時( その後に当該物又は権利について遺贈の目的として特定した場合にあっては、その特定した時)の状態で引き渡し、又は移転する義務を負う。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。これに関連する民法第千条は削除された。

3 遺言執行者の権限の明確化

(1)遺言執行者の任務の開始

遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。

(2)遺言執行者の権利義務

遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。

(3)特定財産に関する遺言の執行

遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の特定財産承継遺言があったときは、遺言執行者は、当該共同相続人が対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。

財産が預貯金債権である場合には、遺言執行者は、その預金又は貯金の払戻しの請求及びその預金又は貯金に係る契約の解約の申入れをすることができる。ただし、解約の申入れについては、その預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限る。もっとも、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(4)遺言執行者の行為の効果

遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。

(5)遺言執行者の復任権

遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。ただし、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは遺言執行者は、相続人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。

 

第4部 遺留分制度の見直し

1 遺留分の帰属及びその割合

兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、遺留分を算定するための財産の価額に、次の区分と割合に応じた額を受ける事ができる。

(1) 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一
(2) (1)以外の場合 二分の一

相続人が数人ある場合には、これらにその各自の法定相続分を乗じた割合とする。

2 遺留分を算定するための財産の価額

遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額とする。

条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定める。

3 遺留分を算定するための財産の価額に算入する贈与の範囲

贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、2 の規定によりその価額を算入するものとする。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。

特別受益者の相続分の滅失等に関する民法第九百四条の規定は、贈与の価額について準用する。もっとも、相続人に対する贈与についての規定の適用については、中「一年」とあるのは「十年」となる。また、「価額」とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る。)」とする。

4 負担付贈与がされた場合における遺留分を算定するための財産の価額に算入する贈与の価額等

負担付贈与がされた場合における2 に規定する贈与した財産の価額は、その目的の価額から負担の価額を控除した額とする。

不相当な対価をもってした有償行為は、当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知ってしたものに限り、当該対価を負担の価額とする負担付贈与とみなす。

5 遺留分侵害額の請求

遺留分権利者及びその承継人は、受遺者( 特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。

遺留分侵害額は、上記の1の規定による遺留分から「遺留分権利者が受けた遺贈又は民法第九百三条第一項に規定する贈与の価額の額」と「民法第九百条から第九百二条まで、第九百三条及び第九百四条の規定により算定した相続分に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価額」を控除し、これに.「被相続人が相続開始の時において有した債務のうち、民法第八百九十九条の規定により遺留分権利者が承継する債務(遺留分権利者承継債務)の額」を加算して算定する。

6 受遺者又は受贈者の負担額

(1)受遺者又は受贈者は、次のアからウまでの定めるところに従い、遺贈(特定財産承継遺言による財産の承継又は相続分の指定による遺産の取得を含む)又は贈与(遺留分を算定するための財産の価額に算入されるものに限る。)の目的の価額(受遺者又は受贈者が相続人である場合にあっては、当該価額から1の規定による遺留分として当該相続人が受けるべき額を控除した額) を限度として、遺留分侵害額を負担する。

ア 受遺者と受贈者とがあるときは、受遺者が先に負担する。

イ 受遺者が複数あるとき、又は受贈者が複数ある場合においてその贈与が同時にされたものであるときは、受遺者又は受贈者がその目的の価額の割合に応じて負担する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

ウ受贈者が複数あるとき(イに規定する場合を除く。) は、後の贈与に係る受贈者から順次前の贈与に係る受贈者が負担する。

(2)民法第九百四条、2 及び4の規定は、(1)に規定する遺贈又は贈与の目的の価額について準用する。

(3)5 の請求を受けた受遺者又は受贈者は、遺留分権利者承継債務について弁済その他の債務を消滅させる行為をしたときは、消滅した債務の額の限度において、遺留分権利者に対する意思表示によっての規定により負担する債務を消滅させることができる。この場合において(1)の当該行為によって遺留分権利者に対して取得した求償権は、消滅した当該債務の額の限度において消滅する。

(4)受遺者又は受贈者の無資力によって生じた損失は、遺留分権利者の負担に帰する。

(5)裁判所は、受遺者又は受贈者の請求により、の規定により負担する債務の全部又は一部の支払につき相当の期限を許与することができる。

7 遺留分侵害額請求権の期間の制限

遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅するものとすること。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。

 

第5部 相続の効力等に関する見直し

1 共同相続における権利の承継の対抗要件

相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、法定相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。

この権利が債権である場合において、法定相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなす。

2 相続分の指定がある場合の債権者の権利の行使

被相続人が相続開始の時において有した債務の債権者は、民法第九百二条の規定による相続分の指定がされた場合であっても、各共同相続人に対し、法定相続分に応じてその権利を行使することができる。

ただし、その債権者が共同相続人の一人に対してその指定された相続分に応じた債務の承継を承認したときは、この限りでない。

3 遺言執行者がある場合における相続人の行為の効果等

遺言執行者がある場合には、民法第千十三条第一項の規定に違反してした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

民法第千十三条第一項及びの規定は、相続人の債権者(相続債権者を含む。)が相続財産についてその権利を行使することを妨げない。

 

第6部 特別の寄与

1 被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び民法第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(「特別寄与料」)の支払を請求することができる。

2 1の規定による特別寄与料の支払について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から六箇月を経過したとき、又は相続開始の時から一年を経過したときは、この限りでない。

3 2本文の場合には、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定める。

4 特別寄与料の額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。

5 相続人が数人ある場合には、各相続人は、特別寄与料の額に当該相続人の法定相続分(相続分の指定がある場合は指定相続分)を乗じた額を負担する。

第7部 相続における手続き規定の整備

1.家事事件手続法の一部改正

遺産分割前の預貯金債権の仮分割の仮処分

家事事件手続法第二百条第二項に規定するもののほか、家庭裁判所は、遺産の分割の審判又は調停の申立てがあった場合において、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁その他の事情により遺産に属する預貯金債権(民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権をいう。) を当該申立てをした者又は相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部又は一部をその者に仮に取得させることができる。ただし、他の共同相続人の利益を害するときは、この限りでない。

2.特別の寄与に関する審判事件

(1) 管轄

特別の寄与に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。

(2)給付命令

家庭裁判所は、特別の寄与に関する処分の審判において、当事者に対し、金銭の支払を命ずることができる。

(3) 即時抗告

次の又はに掲げる審判に対しては、当該又はに定める者は、即時抗告をすることができる

①特別の寄与に関する処分の審判申立人及び相手方
②特別の寄与に関する処分の申立てを却下する審判申立人

(4) 特別の寄与に関する審判事件を本案とする保全処分

家庭裁判所(家事事件手続法第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所)は、特別の寄与に関する処分についての審判又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は申立人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者の申立てにより、特別の寄与に関する処分の審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる。

 第8部 相続法改正の施行期日

この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内(平成31年7月13日まで)において政令で定める日から施行するものとする。

ただし、遺言方式の緩和については公布の日から起算して六月を経過した日(平成31年1月13日)、配偶者居住権については公布の日から起算して二年を超えない範囲内(平成32年7月13日まで)において政令で定める日から施行する。

 

 

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