離婚すれば、夫婦のお金はどのように分割して相手に動くのか、慰謝料はどれくらい取れるのか。

離婚における「財産分与制度」は、実務ではかなり柔軟に決められているが、パイ次第の面もある。

(1)離婚に際しての財産分与

これは、夫婦財産の清算・離婚後の扶養・損害賠償の3つからなると考える。

しかしながら、離婚時にこの取り決めをするものは約3割でかなり低い(2011)。

別れること自体が第一目的になってしまうから。

財産分与
第七百六十八条  協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2  前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。
3  前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。

(2)夫婦財産の清算

対象となるのは、名義のいかんにかかわらず婚姻後に夫婦の協力によって取得した財産である。

自分の自由処分可能な財産で取得したものを除く。

特有財産(夫婦の一方が相続や贈与によって得た財産や婚姻前から有していた財産)は、その維持に寄与があった時のみ清算対象になろう。

事業代表者や法人名義の財産も、実質的には夫婦の共有持分が考えられるのであれば、清算対象になる。

個々の婚姻費用の分担の清算もあり得る。

⇒裁判所は当事者の一方が過当に負担した婚姻費用の清算のための給付をも含めて財産分与の額および方法を定めることができる。(最判昭53・11・14)

◆債務

共同生活を営む上で発生したのであれば、日常家事債務の範囲を超えるものも考慮される。

住宅ローンのある不動産の清算の仕方は、夫名義が多いので夫がそのまま住み続けて住宅ローンを支払い、妻には金銭で支払うことが多いであろう。

または、妻に住宅を取得させて、自分は住宅ローンを負担する形での清算の仕方もあろう。

ただし、ローンが住宅の価値を上回っている場合は、処分清算になろう。

退職金

分与額=退職金額×(同居期間÷労働期間)×寄与度

将来の退職金も対象になる。

年金分割制度の導入(2007)

報酬比例部分は夫婦の合意で上限半分まで分割可能で、国民年金の第3号被保険者(被扶養配偶者)は半分の当然分割である。

私的年金は分割制度がないので、かっての判例などを参考に決めていくしかないであろう。

以上での清算の割合は、具体的な寄与分によるが、1/2が実務で多い。

※このサイトの該当部分参照

(3)離婚後扶養

清算的な財産分与や慰謝料があってもなお生活に困る場合に認められる補充的なものである。

(4)損害賠償

不貞等の有責行為から生じた離婚について、不法行為責任として有責者には、損害賠償義務がある。

◆慰謝料の相場

慰謝料の額は、平均で200万円、マックスで500万円である。

財産分与がなされても、それが損害賠償を含めた趣旨と解せられないか、そうでないとしても、その額および方法において、請求者の精神的苦痛を慰謝するには足りないと認められるときは、別個に慰謝料を請求することができる。(最判昭46・7・23)

なお、暴力等による不法行為責任は別に、いわゆる離婚原因慰謝料であってこれとは別である。

(5)財産分与の実現

訴訟実務では、離婚に反対の場合でも予備的請求として財産分与を請求する。また、民事訴訟法の不利益変更の禁止はない(最判平2・7・20)。

対象財産の把握には、家裁調査官(家事事件手続法58)の調査も可能である。他に、家裁の報告制度(同289)や弁護士会の照会依頼(弁護士法23の2)もあるが実現強制手段はない。

保全処分が人事訴訟法30又は家事事件手続法105で可能である。財産分与請求権は債権者代位権や詐害行使取消権の対象でない。

◆協議あるいは審判等によって具体的内容が形成される前の財産分与請求権を保全するために債権者代位権を行使することは許されない。(最判昭55・7・11)

◆財産分与は、分与者がすでに債務超過の状態にあり当該分与により一般債権者に対する共同担保を減少させる結果になるとしても、特段の事情のない限り、債権者取消権の対象とならない。(最判昭58・12・19)

◆離婚に伴う財産分与として金銭の給付をする旨の合意は、その額が不相当に過大であり、財産分与に仮託してされた財産処分であると認めるに足りるような特段の事情があるときは、不相当に過大な部分について、その限度において詐害行為として取り消される。また離婚に伴う慰謝料として配偶者の一方が負担すべき損害賠償債務の額を超えた金額を支払う旨の合意は、右損害賠償債務の額を超えた部分について、詐害行為取消権行使の対象となる。(最判平12・3・9)

◆課税

贈与税はない。

不動産を分与した場合は譲渡所得税が課されるのが大きな問題になっている。

 

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