離婚最大の被害者は子供で、子の保護こそは離婚最大の課題だから、法はどのように保護しているのか。

離婚の効果と子への配慮は最大の離婚の問題である。離婚後の現実は非常に厳しくなるからである。

つまり、離婚の効果として夫婦関係の解消だけでなく、可哀想なことになるのは子供である。

周辺で泣かなかった小さな子供の例を知らない。

そこで民法は、離婚による迷惑をこうむる子への配慮として離婚時の親権者の決定、離婚時の監護権者の決定、子の引き渡し請求、離婚後の面会交流、離婚後の子の養育費などを不十分ながら定めているが、一般的な母子家庭の貧しさと法の定めが機能していない現状を踏まえて福祉方面からの救済が一層求められる。

また、民法そのものも離婚を子の福祉の観点から、民法学会で言われている案を踏まえて、法改正する必要があろう。

1.親権者・監護者の指定

(1)親権者

離婚により共同親権から単独親権になる。

両親の離婚を経験する子は、毎年23万人を超えている。

母が親権者になる割合は8割を超えている。(2011)

離婚又は認知の場合の親権者
第八百十九条  父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
2  裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
3  子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
4  父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。
5  第一項、第三項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
6  子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。

家事事件手続法

◆第六十五条  家庭裁判所は、親子、親権又は未成年後見に関する家事審判その他未成年者である子(未成年被後見人を含む。以下この条において同じ。)がその結果により影響を受ける家事審判の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、審判をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。

◆(陳述の聴取)
第百六十九条  家庭裁判所は、次の各号に掲げる審判をする場合には、当該各号に定める者(第一号、第二号及び第四号にあっては、申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。…
二  親権喪失、親権停止又は管理権喪失の審判の取消しの審判 子(十五歳以上のものに限る。)、子に対し親権を行う者、子の未成年後見人及び親権を喪失し、若しくは停止され、又は管理権を喪失した者

監護の実績・継続性の尊重、子の意思の尊重(10歳前後)、母性、別居・離婚後の親子の交流の許容性、この奪取の有無等が重要な判断材料になって親権者が決定される。

きょうだいの不分離は重視されない。

(2)監護権

親権者とは別に実際の子の監護をするものを決めることができる。

別居中も可能である。

離婚後の子の監護に関する事項の定め等
第七百六十六条  父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2  前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が同項の事項を定める。
3  家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
4  前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。

2.子の引き渡し請求

(1)家事事件手続

・子の監護に関する処分

766条1項・家事事件手続法39条別表第2③の適用

離婚前であれば、離婚に至るまでの暫定的な処分として可能である。

離婚後は、親権者が子の監護に関するとして子の引き渡しを求めることが可能である。

・審判前の保全処分

家事事件手続法105条により、急迫の危険を防止するために本案の認容蓋然性が高い時に子の引き渡しを求める。

(2)人身保護請求

1980年の家事審判法改正で審判前の仮処分に執行力を持たせてからは、家裁調査官や技官などの科学的調査機能と後見的機能を持つ者がかかわるのが本来であり、あくまでも緊急の暫定的措置で、違法性の極めて高い時に限定されるべきであろう。

実際に件数は激減した。

人身保護法2条

法律上正当な手続によらないで、身体の自由を拘束されている者は、この法律の定めるところにより、その救済を請求することができる。

◆夫婦の一方が他方に対し、人身保護法に基づいて請求した場合に、拘束者による幼児の監護・拘束が権限なしにされていることが顕著であるということができるためには、拘束者が監護することが子の幸福に反することが明白であることを要する。(最判平5・10・19民集47-8-5099)

◆拘束者が監護することが子の幸福に反することが明白である場合とは、家事審判規則五二条の二または五三条に基づく幼児引渡しを命ずる仮処分または審判が出され、その親権行使が実質上制限されているのに拘束者がその仮処分に従わない場合、また拘束者の監護の下においては著しくその健康が損なわれたり、満足な義務教育を受けることができないなど、幼児に対する処遇が親権行使の観点からみても容認できない例外的場合である。(最判平6・4・26民集48-3-992)

(3)子の引き渡しと執行方法

家裁の履行勧告(家事事件手続法289条)、間接強制、動産に準じた直接強制(民事執行法169)が認められる。

(4)国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約

国内法が2013年に制定「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律

 

3.面会交流

(1)実務上の面接交渉権を2011年に明文化(766条)

別居中の夫婦にも適用される。

親権者・監護者でないために子を現実に監護や教育できない親が子と会ったり手紙や電話で交流する。

親の権利であり義務でもあり、親の養育を受ける子の権利でもある。

◆婚姻関係が破綻して父母が別居状態である場合であっても、子と同居していない親が子と面接交渉することは、子の監護の一内容である。別居状態にある父母の間で、面接交渉につき協議が調わないとき、または協議することができないときは、家庭裁判所は、766条を類推適用し、家事審判法九条一項乙類四号により、面接交渉について相当な処分を命ずることができる。(最決平12・5・1民集54-5-1607)

(2)面会交流を認める基準

この福祉を害する恐れのない限り認める。

具体的にどのような内容にすべきか考慮要素は、子どもの意思や年齢、親としての適格性、配偶者からの暴力の有無、父母の感情の葛藤・子の精神的安定、新しい家庭生活での安定等である。

(3)祖父母・兄弟姉妹の交流

祖父母・兄弟姉妹の交流は諸外国では制度化されるようになってきたが、わが国では事例も乏しい。

(4)面会交流の実現

直接的交流・面会の施行・第三者の立ち合いや指導・手紙等の間接的交流があり、家裁の履行勧告、間接強制もある。

 

4.養育費

(1)親の扶養義務

親は子を扶養する義務がある(877条)。

親権の有無も順位も関係ない。

再婚しても同じである。

養育費の取り決めは全体の8割以上であるが、そのうちの約8割が1~6万円である。

母子世帯では、実際に支払いを受けている・受けたことがあるがいずれも2割未満である。

かなり厳しい現実がある。

児童扶養手当や自治体の上積み援助等に頼っており、離婚母子家庭の平均年収は223万円で、一般の約3割3分である。(2011)

 

(2)扶養の程度

生活保持義務である。

成年の大学生の場合は、生活扶助義務が基本であろうが、一定の配慮が必要であろう。

(3)請求方法

別居中であれば婚姻費用分担請求で、離婚であれば監護費用(養育費)の分担請求になる。

この場合に離婚訴訟であれば附帯請求が可能である(人事訴訟法32条)。

(4)具体的算定方法

簡易迅速な養育費等の算定を目指して~養育費・婚姻費用の算定方式と算定表の提案」が実務では利用される。

算定の基礎とする収入が税金・社会保険料ほかを控除する結果、総収入の40%程度になっていることや個別事情が反映されにくいなどの問題がある。

例えば、子が4人以上、義務者も子を監護している場合等である。

 

(5)養育費の履行確保

家裁の履行勧告・履行命令(家事事件手続法289)、不履行と将来の給付を含めた強制執行も可能である(民事執行法151の2)。

養育費の給与差押えは禁止範囲が3/4から1/2に縮小されたので借金の返済があるときは1/4を超え1/2まで優先可能になっている。

また、間接強制も可能である。

※なお、2016年秋以降の国会で養育費の支払い確保の立法措置が取られる可能性がある。

 

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