離婚すればどうなるのか。離婚にうまいやり方はあるのか。死後離婚もできるのか。

離婚をめぐる基本的な論点に、離婚できないこともあるのか、離婚の効果はどのようになるのか、近似話題になっている死亡による婚姻解消である「死後離婚」とは何か、離婚の種類としてどのようなものがあるのかなどがある。

1.離婚とは

離婚は、婚姻の解消のことである。

婚姻の解消は、当事者一方の死亡や婚姻の取り消しによっても生じる。

民法が、離婚を認めるのは破綻した婚姻から当事者を解放するためであるが、離婚によって経済的に困るものを救済する財産分与制度や養育費制度などを設けている。

2.当事者一方の死亡による婚姻解消の法的効果

(1)第七百五十一条

夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる。

復氏届は年間約2000件。

(2)第七百二十八条

姻族関係は、離婚によって終了する。

夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする。

これがいわゆる「死後離婚」である。

相続おもいやり相談室でも相談が多い。死後に、相手方親族とも完全に縁を切りたい方が増えてきている。

姻族関係終了届は年間約2000件。

(3)生存配偶者が未成年者の親権者になる。

(4)生存配偶者は、相続人になる。

 

3.離婚の種類

離婚の種類は、民法の定めるもの、家事事件手続法の定めるものと人事訴訟法によるものがある

(1)「民法」の定めるもの

①協議離婚

「第七百六十三条  夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。」

戸籍法の定める離婚届けという届け出をする。

戸籍係には、実質的な審査権がなく、一方的な離婚届、仮装離婚を防げない。

財産分与や養育費に協議が不十分でも離婚届けが出る。

そこで、平成19年に戸籍法で次の不受理申し出制度が整備された。

戸籍法

「第二十七条の二  市町村長は、届出によつて効力を生ずべき認知、縁組、離縁、婚姻又は離婚の届出(以下この条において「縁組等の届出」という。)が市役所又は町村役場に出頭した者によつてされる場合には、当該出頭した者に対し、法務省令で定めるところにより、当該出頭した者が届出事件の本人(認知にあつては認知する者、民法第七百九十七条第一項 に規定する縁組にあつては養親となる者及び養子となる者の法定代理人、同法第八百十一条第二項 に規定する離縁にあつては養親及び養子の法定代理人となるべき者とする。次項及び第三項において同じ。)であるかどうかの確認をするため、当該出頭した者を特定するために必要な氏名その他の法務省令で定める事項を示す運転免許証その他の資料の提供又はこれらの事項についての説明を求めるものとする。
○2  市町村長は、縁組等の届出があつた場合において、届出事件の本人のうちに、前項の規定による措置によつては市役所又は町村役場に出頭して届け出たことを確認することができない者があるときは、当該縁組等の届出を受理した後遅滞なく、その者に対し、法務省令で定める方法により、当該縁組等の届出を受理したことを通知しなければならない。
○3  何人も、その本籍地の市町村長に対し、あらかじめ、法務省令で定める方法により、自らを届出事件の本人とする縁組等の届出がされた場合であつても、自らが市役所又は町村役場に出頭して届け出たことを第一項の規定による措置により確認することができないときは当該縁組等の届出を受理しないよう申し出ることができる。
○4  市町村長は、前項の規定による申出に係る縁組等の届出があつた場合において、当該申出をした者が市役所又は町村役場に出頭して届け出たことを第一項の規定による措置により確認することができなかつたときは、当該縁組等の届出を受理することができない。
○5  市町村長は、前項の規定により縁組等の届出を受理することができなかつた場合は、遅滞なく、第三項の規定による申出をした者に対し、法務省令で定める方法により、当該縁組等の届出があつたことを通知しなければならない。」

また、平成23年に民法の改正で、次のように離婚に際して面会交流や養育費の分担規定が置かれたので離婚届けには強制ではないが、そのチェック欄が設けられた。

離婚後の子の監護に関する事項の定め等
「第七百六十六条  父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2  前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が同項の事項を定める。
3  家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
4  前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。」

なお、面接交流は約5割は一度もなく、約6割は養育費を一度も受けたことがない(2011年)。

②裁判離婚

第七百七十条  夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一  配偶者に不貞な行為があったとき。

不貞な行為とは、配偶者のある者が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいい、相手方の自由な意思に基づくものであるか否かは問わない(判例)

二  配偶者から悪意で遺棄されたとき。

※妻が婚姻関係の破綻について主たる責任を負い、夫からの扶助を受けないようになったのも自ら招いたものである場合においては、夫が妻と同居を拒みこれを扶助しないとしても、悪意の遺棄に当たらない。(判例)

三  配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

※失踪宣告は7年かかる(民法31条)

四  配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

※夫婦の一方が不治の精神病にかかっている場合でも、諸般の事情を考慮し、病者の今後の療養、生活等についてできる限りの具体的方途を講じ、ある程度において前途にその方途の見込みのついた上でなければ、離婚の請求は許されない。(判例)、

妻が精神病にかかり、回復の見込みがなく、また妻の実家が療養のための経済的能力があり、一方夫の生活が必ずしも裕福でない等の事由がある場合は、二項による離婚請求を棄却できない(判例)。

五  その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

破綻事実の認定と継続しがたいかどうかの法的評価が必要である。

具体的には、他方配偶者の暴行・虐待、重大な侮辱(モラハラ)、犯罪、浪費癖等協力扶助義務の著しい違反、性生活上の異常、不一致や性交不能、価値観・生活感覚の不一致、愛情の喪失、他方配偶者の親族との不和、アルツハイマーなどの難病、過度の宗教活動、DV等。

熟年離婚は、この条項に当てはまるか否かであるが、それ単独の判例基準はない。

有責配偶者の離婚請求もこの条項の問題である。

夫婦が相当の長期間別居し、その間に未成熟子がいない場合には、離婚により相手方がきわめて苛酷な状態におかれる等著しく社会正義に反するといえるような特段の事情のない限り、有責配偶者からの請求であるとの一事をもってその請求が許されないとすることはできない。(最大判昭62・9・2)とした判例がターニングポイントであった。

その後は、別居は8年前後がメルクマールになりつつあり、未成熟子は絶対要件でなくなり、高額の財産分与が目立っている。

2  裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

離婚の訴えが認められて判決が出れば離婚できる。

(2)「家事事件手続法」の定めるもの

③調停離婚

調停前置主義

第二百五十七条  第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。

調停の成立及び効力

第二百六十八条  調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。

④審判離婚

調停に代わる審判の対象及び要件

第二百八十四条  家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(調停に代わる審判)をすることができる。

 

(3)「人事訴訟法」の定めるもの

⑤訴訟上の和解による離婚

⑥請求の認諾による離婚

第三十七条  離婚の訴えに係る訴訟における和解(これにより離婚がされるものに限る。)並びに請求の放棄及び認諾については、第十九条第二項の規定にかかわらず、民事訴訟法第二百六十六条 (第二項中請求の認諾に関する部分を除く。)及び第二百六十七条 の規定を適用する。

⇒民事訴訟法

(請求の放棄又は認諾)

第二百六十六条  請求の放棄又は認諾は、口頭弁論等の期日においてする。 2  請求の放棄又は認諾をする旨の書面を提出した当事者が口頭弁論等の期日に出頭しないときは、裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、その旨の陳述をしたものとみなすことができる。

(和解調書等の効力)

第二百六十七条  和解又は請求の放棄若しくは認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。

 

⇒DATA:2011年の離婚件数は235,719件でピークの2002年289,836件から減少傾向にある。

 協議離婚が87.4%、調停離婚が10%、和解離婚が1.5%、裁判離婚が1.1%である。

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