公正証書遺言書等7種類の遺言書のメリット・デメリット

1.公正証書遺言、自筆証書遺言等のメリットとデメリット

通常は、「公正証書遺言」をおすすめするが、「自筆証書遺言」が増加傾向にあり、また、実務では実際上「秘密証書遺言」もある。それぞれのメリットとデメリットを考えて、選択しよう。

(1)「自筆証書遺言」

「自筆証書遺言」は、全文を遺言者の自筆で記述する必要があり、代筆やワープロ打ちは不可である。最も注意すべき点である。

日付や氏名も自署である。

押印も必要だが、実印でなくてかまわない。認印でいい。

この形式が一番面倒なのは、遺言書の保管者または発見者は、相続の開始を知った後、封印されていようがいまいが、遅滞なくこれを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない(民法1004条1項)ことにある。

形式的な要件の確認である。一種の証拠保全でもある。

勿論、発見されなければそれまでで、作らなかったのと同じことになる。

 

(2)「秘密証書遺言」

「秘密証書遺言」も、この面倒な点は同じであるが、遺言内容を秘密にしつつ公証人の関与を経る方式である。

偽造・変造のおそれがないのが自筆証書遺言と違う。

公証役場に行く必要があるので、証人2名と手数料が必要であるが、なんといっても楽なのは、自筆でなくて、遺言者の署名を除いて本文は代筆やワープロ打ちも可能な点であろう。

押印は必要であり(970条1項1号)、その押印と同じ印章で証書を封印する(同項2号)。

公証役場では公証人が遺言者の氏名と住所の申述後に証書提出日及び遺言者の申述内容を封紙に記載し、遺言者及び証人と共に署名押印する(同項4号)。

遺言書の入った封筒は遺言者に返却される。

 

(3)「公正証書遺言」

「公正証書遺言」は、遺言内容を公証人に口授し、公証人が証書を作成する方式である。

証人2名と手数料が必要で、推定相続人・受遺者等は証人となれない。

公証人との事前の打ち合わせを経るため、法律的には一番問題の少ない遺言を作成することができる。

他にも、証書の原本は公証役場に保管され、遺言者の死亡後に関係者は検索できるようになっている。

遺言者にも正本・謄本が交付され、検認は不要である(1004条2項)。この点が大きなメリットであろう。

公証役場に行かなくても実務では公証人が出張して作成することもしばしばある。

 

2.特別方式遺言

以上の普通方式が不可能な時に、特別方式遺言として、危急時遺言と隔絶地遺言がある。

ただし、普通方式遺言が可能になってから6か月間生存した場合は、遺言は無効となる(983条)。

(1)「一般危急時遺言」

「一般危急時遺言」は疾病や負傷で死亡の危急が迫った人の遺言形式である(976条)。

証人に遺言者が遺言内容を口授して筆記したものを遺言者及び他の証人に確認させ署名・押印する。

20日以内に家庭裁判所で確認手続を経ない場合は遺言が無効となる。

 

(2)「難船危急時遺言」

「難船危急時遺言」は、船舶や飛行機に乗っていて死亡の危急が迫った人の遺言方式である(979条)。

 

(3)「一般隔絶地遺言」

「一般隔絶地遺言」は、伝染病による行政処分によって交通を断たれた場所にいる人の遺言方式である(977条)。

刑務所の服役囚や災害現場の被災者もこの方式で遺言をすることが可能である。

警察官1人と証人1人の立会いが必要で、家庭裁判所の確認は不要である。

 

(4)「船舶隔絶地遺言」

「船舶隔絶地遺言」は、船舶に乗っていて陸地から離れた人の遺言方式である(978条)。

飛行機の乗客はこの方式を選択することはできない。

 

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